神戸市東灘区の「甲南医療センター」の専攻医、高島晨伍(しんご)さん26歳が2022年5月17日に過労で自殺されました。高島晨伍さんは神戸大学の医学部を卒業しており、能力も高い。それなのになぜこのようなことが起きてしまったのかを見ていきたいと思います。
高島晨伍の大学は神戸大学
高島晨伍さんの卒業した大学は神戸大学医学研究科・医学部です。偏差値は67.5とかなり高い学部となります。
この大学は国公立・私立を合わせた全国の82校の医学部の中で15位と医学部の中でも上位の大学でかなり入るのが難しい学部となっています。
高島晨伍さんは浪人することなく現役合格し、留年することもなくストレート卒業された勤勉で優秀な方でした。
この神戸大学医学研究科・医学部には主に下記の高校からの入学生が多く、高島晨伍さんも3位の東大寺学園高校からこちらの大学に入学されました。
順位 | 高校名 | |
---|---|---|
1 | 白陵高校 | 私立 |
2 | 甲陽学院高校 | 私立 |
3 | 高槻高校 | 私立 |
3 | 東大寺学園高校 | 私立 |
この神戸大学医学研究科・医学部の特徴は、「全国に先駆けて学部学生の全員を各基礎系の医学講座に配置して研究を体験していく基礎配属実習」を行っており、高島晨伍さんも基礎配属実習を受けて卒業した生徒の一人である可能性が高いです。
高島晨伍さんはエリート ではなぜ過労死をしたのか
高島晨伍さんは神戸大学医学研究科・医学部という超高難関大学を卒業し、「甲南医療センター」の医師になりました。そんな高島晨伍さんが何故過労で自ら命を絶たなければいけなかったのかを見ていきます。
医者という職業がブラック
医者という職業自体がブラックだという意見が散見されました。
- 「研修医は、例外なくパワハラされてる」
- 「体力バカ以外は医者にならない方がいい」
- あまりに過酷すぎてゲロを吐いた
- 医者は連続28時間勤務が合法なんだろ?
この意見は、正しい意見で、実際のデータを見ると医師の自殺率は日本では毎年90人から100人です。これは一般仕事の自殺率の1.3倍に当たると言われています。
職場の「甲南医療センター」がブラック
高島晨伍さんは甲南医療センターの研修医として働いていましたが、亡くなる3か月前から母親に対し、以下のようなことを話していたと言います。
- 「朝5時半に起きてタクシーで出勤し、午後11時に帰宅している」
- 「土日も行かないと業務が回らない」
- 「しんどい、しんどい、疲れた。2月から休みなしや」
この発言を見ると、相当ブラックだということが見えてきます。しかし、甲南医療センター側は記者会見にて、次のように弁解しています。
- 「過重労働させたつもりない」
では実際どちらが正しかったのか。結果は西宮労働基準監督署が以下のように認定しました。
労災認定:「直前1カ月の時間外207時間、休日なし3カ月」は国の労災認定基準の160時間を大きく超えている。加えて休日なしは見過ごせない。
この甲南医療センターは神戸市にあり150万人都市の医療センターです。病院によってはそこまで忙しくないという医師の意見もありますが、この病院ではそのようなことはなかったようです。
口コミを見ても患者が多すぎた病院だったことがわかります。
高島晨伍さんは「甲南医療センター」をやめなかった理由
高島晨伍さんは勤勉で善良な方でした。このようなことになる前にやめるという選択肢はなかったのかということですが、その理由についてみていきます。
高島晨伍さんの性格
一つは高島晨伍さんの性格です。
善良な人間ほど善行の押し付けにきわめて弱く、無理をしてしまうということ。責任感が強く自分がいかなければ多くの患者や病院関係者に迷惑がかかると思い、自分を犠牲にしてしまった可能性が高いです。それで甲南医療センター側からの指示を断れなかったというのがこのような結果になってしまったのではないでしょうか。
医師という職業
そして2つ目は医師という職業です。
全国の82校の医学部の中で15位と医学部の中でも上位の大学「神戸大学医学研究科・医学部」を浪人することなく現役合格し、留年することもなくストレート卒業。並大抵の努力ではないです。そんな努力で勝ち取った医師という職業を研修医の段階でやめるというのは、高島晨伍さんの立場で考えてみると「キャリアを大きく傷つける」と考えたのではないでしょうか。辛くてもやめられない、とずるずる日々を重ねるうちに、最終的に鬱で考えることができなくなり・・・ということですね。